ダージリン産紅茶の基礎知識と、2020年度産ファーストフラッシュおすすめ5選

ダージリン産紅茶の基礎知識と、2020年度産ファーストフラッシュおすすめ5選

ここでは、紅茶の中でも最高級とされるダージリン産茶葉についての基本知識と、ダージリンの2020年産ファーストフラッシュの中からおすすめめの茶葉5種類を、専門家が選定してご紹介します。

この記事の執筆者

紅茶専門家 指田千歳
ロチャンティー・ジャパン株式会社代表取締役
日本紅茶協会ティーインストラクター
インドの紅茶専門商社「Lochan Tea(ロチャンティー)社」のCEOラジブ・ロチャン氏から絶大な信頼を得、2011年より提携開始。ダージリンの各茶園に毎年足を運び最高級ダージリン茶葉を仕入れ、ロチャンティー社の日本総代理店として販売を行う。
インドダージリンのシリグリで開催されたダージリンフェスティバル2016年に日本人スピーカーとして招待された実績も持つ紅茶の専門家。

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ダージリン産茶葉の基礎知識

ダージリン産茶葉の生産地は、インド北東部ヒマラヤ山麓に位置するダージリン地方の山地で、標高600m~2300mの急斜面に茶樹が植えられています。
「ダージリンでは1日で1年分のシーズンが巡る」と表現されるほど昼夜の寒暖差が激しく、夜のうちに冷やされた空気が、朝の強い日射しを受けて霧となり、茶葉はこの霧から自力で水分を吸収します。その後また少しずつ気温が下がって、夜にはまた空気が冷えて朝を迎える、というサイクル。この特別な環境が、香り高い最高級の茶葉を作ります。それゆえ、ダージリンで作られた紅茶だけを「ダージリン紅茶」と呼ぶことができ、世界最高峰の高級紅茶として愛されています。
スリランカのウバ、中国のキーマンと並び「世界三大銘茶」としても有名です。

ダージリン茶葉の生産量は、インド全体の紅茶生産量のうちわずか1%未満しかなく、ダージリン茶葉100%のものは大変希少で最も価格が高いと言われています。日本市場に出回っているダージリンと名の付く紅茶には少しだけブレンドされているものも多い為、購入する際には注意が必要です。

ダージリン紅茶の3つの旬
(クオリティシーズン)

紅茶の茶葉の香りや味が最も充実する旬の時期を「クオリティシーズン」と呼びます。ダージリンには1年に3回のクオリティーシーズンがあり、それぞれ香り味わいなどの特徴が全く異なった個性を楽しめます。

ファーストフラッシュ(春摘み茶葉:2月下旬~5月上旬収穫)
希少性が高い初摘み茶。他のダージリン紅茶とは少し製法が異なり、通常に比べて低温、軽発酵で香りを最大限引き立たせる様な製法が用いられています。
茶葉と水色:
柔らかい新芽を含み浅い緑色の茶葉で、水色は透明感のある明るい黄金色をしています。
香り味:
みずみずしい香りと爽やかな渋みがあり緑茶の味わいに似ています。
<ファーストフラッシュの香り味 4つの特徴>
 ✓爽やかで若々しい風味
 ✓芳醇な果実のような香り
 ✓優雅な花のような香り
 ✓キレの良い爽やかな渋み
その他:
茶葉の収穫量が少ないため高値で取引されることが多いです。日本やドイツで特に人気があります。
セカンドフラッシュ(夏摘み茶葉:5月下旬~7月上旬収穫)
夏の最盛期からモンスーン(雨季)に入るまでの時期に摘まれた品質の高い茶葉。最高級の風味とされる「マスカテルフレーバー」が楽しめるのはこの時期のものだけです。
茶葉と水色:
しっかりとした褐色の茶葉で、水色はオレンジ色をしています。
香り味:
「マスカテルフレーバー」と呼ばれるダージリン独特の華やかな香りを持ち濃密な飲みごたえが特徴です。
その他:
香り味ともに1年で最も充実しているシーズンと言われ、最高級品として高値で取引されてることが多いです。
オータムナル(秋摘み茶葉:9月下旬~11月下旬収穫)
気温が低下し、茶葉の成長が遅れることで逆にミネラル分が凝縮されており、主張の強い濃厚な味わいと香りが特徴とされます。
茶葉と水色:
厚みを増した茶褐色の茶葉で、水色は深みのあるオレンジ色をしています。
香り味:
芳醇でまろやかなコクが特徴で、味わいに深みが増します。
その他:
他の2シーズンと比べると手頃な価格で取引されています。

2020年ダージリンファーストフラッシュ茶葉おすすめ5選

2020年3月のインドのロックダウン直前に収穫されたファーストフラッシュ茶葉の中でも、大変希少なスペシャルティグレードのおすすめ茶葉5つをご紹介します。

通常2月下旬から5月上旬に収穫されるファーストフラッシュですが、各茶園で一番初めの2週間に摘まれる茶葉は、ダージリン地方の厳しい冬の間に養分をたっぷり蓄えることから旨味が多く上質な茶葉と言われています。

しかし、2020年は新型コロナウィルス拡大の影響を受け3月25日にインド全土のロックダウンが決定し、茶葉の栽培、収穫、製茶作業の全てがストップしたことから、標高差のあるダージリン地方では殆ど収穫できていない茶園も多く、日本で入手できる2020年のファーストフラッシュ茶葉は例年の半分以下と激減してしまいました。今回ご紹介する5つの茶葉はいずれも、各茶園がVIPのために特別区画で栽培している「スペシャルティ」と呼ばれる、最高グレードの紅茶です。幻のファーストフラッシュといっても過言ではありません。

今回それぞれの茶葉をご紹介するにあたり、ファーストフラッシュ茶葉特有の香り味わいの特徴に沿って★~★★★★★の5段階の★で表しました。流通している一般的なFGTOPグレードのファーストフラッシュ茶葉を★★★としています。

ジュンパナ茶園
ファーストフラッシュ
SFGTOP-EX2「Wonder」

ジュンパナ茶園
ティーペアリング
生ハムなど塩味の利いたオードブル
爽やかで若々しい風味
★★★★★
芳醇な果実のような香り
★★★★☆
優雅な花のような香り
★★★★★
キレの良い爽やかな渋み
★★★★★

やわらかな新芽から、キリっとしたシャープなグリーンノートが香ります。口当たりは甘くまろやかで、沈丁花かホワイトフラワーの甘い香りを水に溶かしたようなエレガントな風味。みずみずしくふくよかで、透明感を感じる上品な味わいは、英国王室も認めた圧倒的なクオリティーを誇る名茶園ジュンパナの伝統と風格を感じます。
ホットでは、幾重にも織りなす、奥行きのあるエレガントな味わい、水出しでは花蜜が香る甘い風味が楽しめます。

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ソーレニ茶園
ファーストフラッシュ
SFGTOP1「Moonlight」

ソーレニ茶園
ティーペアリング
プレーンビスケット、シフォンケーキ
爽やかで若々しい風味
★★★★☆
芳醇な果実のような香り
★★★★★
優雅な花のような香り
★★★★★
キレの良い爽やかな渋み
★★★★☆

柔らかく瑞々しい新芽は、水出しで抽出した時にその全部を味わうことができます。ふくよかな新芽から、銀木犀を思わせるフローラルな香りが香りは上品で、アフターフレーバーまで楽しませてくれます。
水出しでは、ワイングラスに香りを貯めて、甘さをたっぷり楽しんでください。この紅茶だけで楽しみたい銘茶です。

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グームティー茶園
ファーストフラッシュ
SFGTOP1「Delight」

グームティー茶園
ティーペアリング
チーズケーキ、バターケーキ
爽やかで若々しい風味
★★★☆☆
芳醇な果実のような香り
★★★★★
優雅な花のような香り
★★★★☆
キレの良い爽やかな渋み
★★★★☆

果樹のような甘味を持つ紅茶です。マスカットブドウを思わせるグリニッシュな中に、強く主張する甘味を感じるまろやかな紅茶。切れの良い渋みがスイーツの甘味を引き立てます。
水出しで淹れる際、3時間を超えたところでブドウの香り、さらに置くと渋みのある甘い風味が抽出されます。水出しの2回目、3回目に、本来のエレガントな風味を発揮しますので、最後までお楽しみください。

ギダパハール茶園
ファーストフラッシュ
SFGTOP-EX1「Spring Delight」

ギダパハール茶園
ティーペアリング
メレンゲなどの口当たりの軽い焼き菓子
爽やかで若々しい風味
★★★★★
芳醇な果実のような香り
★★★★☆
優雅な花のような香り
★★★★★
キレの良い爽やかな渋み
★★★★☆

最高峰のチャイナ種。この茶園の茶葉は、柔らかいのに大きめなことが特徴。1芯2葉の茶葉はふわふわの新芽がいっぱい入っていて、よく見ると、茎が太いことに気が付きます。これは養分を茶葉に送っている証。質の良い茶葉が育ちます。フローラルでさわやかな甘味を持ち、チャイナ種らしいボディーのある味わいは、グリーンノートと切れの良い渋みを感じます。

アッパーファグ茶園
ファーストフラッシュ
SFGTOP1「Enigma」

アッパーファグ茶園
ティーペアリング
チョコレートなど風味の強いスイーツ
爽やかで若々しい風味
★★★★★
芳醇な果実のような香り
★★★★☆
優雅な花のような香り
★★★★☆
キレの良い爽やかな渋み
★★★★★

茶園のオーナーが温存していた区画に、数年前から新しい品種の木を育て、この茶園のトップグレードを誇るロットとして作られました。
ホットで淹れた時のフローラルな香りは、群を抜いて際立っています。硬めのシャインマスカットのように青みと、パウダーローズを思わせる甘味とまろやかさは、これまでのアッパーファグの茶葉とは一線を画した逸品です。

高級な紅茶に関する情報

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